部屋の棚一段をスプラウトのミニ栽培工場にしてみました。
スプラウト(sprout)とは、英語で新芽という意味です。ですからブロッコリースプラウトで、ブロッコリーの新芽です。初めて名前を知った方も多いかもしれませんが、ブロッコリースプラウトは、農家や栽培工場で生産されたものが、食用として食品スーパーなどで販売されています。
ある日、ひょんなことから日本人に多い胃ガンと関係のあるピロリ菌の存在を知り、それについて色々調べていたら、ブロッコリースプラウトのスルフォラファンという成分が、胃の中のピロリ菌減少に効果のあることも知りました。また、ピロリ菌対策以外にも、抗酸化作用など若返りの効果もあるようなので、これは優れた野菜だと思った次第です。あとは、食品スーパーなどで食用のブロッコリースプラウトを買うと価格が高いので自分で作ってしまえばいいや、という感じでしょうか。
コンテナ(プラスチックの収納ケース、左上)とドンブリ(右上)の栽培システムです。ドンブリは抗菌でポリプロピレン製の製品です。ドンブリで栽培を行い、コンテナはスプラウトがある程度成長するまで、周囲を真っ暗な状態にしておくために使用しています。このコンテナは灰色のフタ部分が薄く、なんと日光を通してしまうので、クラフト紙を3重に貼り付けています。ドンブリには二段分のビー玉が入っており、穴を空けたキッチンペーパーをその上に敷いています。種まきは水分を含んだキッチンペーパーの上に行います。実際の栽培の方法は下記をお読み下さい。
左が水やりのためのスプレー(霧吹き)、右がキッチンペーパーに穴を空けるために使用している千枚通しです。このスプレーは容器内の水の取り込み口に工夫がしてあり、スプレー本体をかなり傾けても使用ができるので使いやすいです。千枚通しについては、私の栽培システムに現在必要なだけであり、変更すれば必要はありません。
※これらはあくまで私に合った設備なので、もっと良いやり方やあなたに合った方法があれば、そちらを採用しましょう。
1.キッチンペーパーを4つ折りにして千枚通しで沢山の穴を空けます。
2.キッチンペーパーをビー玉が入ったドンブリの上に敷き、上からスプレーで水を撒いて充分にキッチンペーパー全体を湿らせます。
3.スプラウトの種をキッチンペーパーの上に蒔き、上から指で軽くなでて種同士が重ならないようになるべく均等に広げます。
4.種の上からスプレーで水を撒きます。
5.ドンブリを真っ暗な場所(私の場合はコンテナの中)に置き、以後作業4を毎日2回朝夜繰り返します。キッチンペーパーの水分状態を見て乾いているようであれば、朝夜以外でも水分を補充しないとスプラウトが萎(しお)れてしまいます。要はキッチンペーパー全体が絶えず充分な水分を含んでいる状態にしておかなくてはなりません。コンテナ内での栽培中ではあまり気にすることはないかもしれませんが、コンテナの外にドンブリを出してスプラウトを日光に当てて緑化させる段階では、キッチンペーパーが乾きやすいので注意が必要です。ただ、逆に水をやり過ぎてキッチンペーパーから水が滴り落ち、ドンブリの底に水が溜まるようでもマズイです。やり過ぎの対策としては、植木鉢のようにドンブリの底に穴を空けて余分な水を排出するようにしておけば良いかもしれませんが、現在私はとりあえず穴を空けずに使用しています。また、穴を空ける場合は、カビなどの対策のため、排出された水は毎回綺麗に拭き取る必要があると思います。
ブロッコリースプラウトが種の状態からどのように成長していくのかは、下の記事(ブロッコリースプラウト生育の記録)をご覧下さい。
スプラウトの根がある程度伸びてきた時点で一回だけ、私は液肥撒布の作業を入れています。住友液肥の液体を通常の倍に薄めてスプレーで毎日の水やりと同じようにスプレーで撒いています。この作業は現在私が実験的に行っているもので必ずしも行う必要はありません。液肥が濃いとスプラウトが枯れる可能性があります。液肥については、今後実験をして加筆したいと思っています。
6.発芽してスプラウト(新芽)が伸びて、全体的に双葉(ふたば)が開きつつあるか茎の長さが5cmぐらいになったら、コンテナからドンブリを出して弱い日光の入る窓際などに置きます。
7.以後も毎日朝夜2回スプレーで水をやり、数日ぐらい日光に当てて双葉のスプラウトを緑化させます(陽光があまり当たらない場所ならば、LED照明を当てるのも良い)
8.双葉の色が黄色からすっかり緑色に変化し、食べたくなったらキッチンバサミなどでスプラウトを根元から切り取って好きなように料理するかマヨネーズを適当にかけて食べます(汚れが気になるようならスプラウトを洗う)。種が残っているものもあるのでそれらも取る。
9.作業1へ戻って繰り返します。
上記作業手順の補足説明をしておきます。
作業1で穴を空けている理由は、キッチンペーパーが丈夫すぎて水を含んでも破れず、根が下に伸びないためです。
水やりの量ですが、これは経験で学んでいって下さい。非常に大雑把に言えば、発芽前なら種とキッチンペーパー、発芽後はキッチンペーパーが常時全体的に水を含んでいれば問題ないわけです。
私がキッチンペーパーの下にわざわざビー玉を入れている理由は、キッチンペーパーだけだと成長したスプラウトの根が窮屈そうだったからです。ビー玉がなくともちゃんと育成すると思われますが、根も呼吸をしているそうなので、できる範囲でなるべく良い栽培環境にしてあげようと考えた結果です。ゼオライトなどではなく、なぜビー玉なのかと言えば、メンテナンス(洗浄など)が簡単そうだからです。こらから先、よりよい方法や材料が思いついたらそれに変更するつもりでいます。現在、根などで汚れたビー玉は、ゴミを全て取り除いてザルに入れ、除菌もできる中性洗剤(ジョイ)で洗っています。
作業6についてですが、陽光でなくとも光合成は可能なので、消費電力の少ないLEDなどの光をスプラウトに照射するのもよいと思います(朝の数時間だけ弱めの陽光が入る程度の窓際でも、結構スプラウトは緑化するものですが)赤色と青色のLEDがスプラウトの成長によいようです。有効な色の波長は他の文献などを当たってみて下さい。
作業8ですが、私は刈り取ってから種の殻や根を全て綺麗に取り除き、すぐにマヨネーズをかけて生でムシャムシャ食べています。衛生面などを考えると危険な行為です。万人にはお勧めしません。自己責任でどうぞ。
それから、あくまで私の場合ですが、毎日の水やりの時に、コンテナの上蓋の裏(ドンブリの上)にもスプレーで水分を補っています。どのような効果がどのぐらいあるかは科学的に検証したわけではないので全く分かりません(大汗)。Youtubeにある動画の真似をしてみているだけです。
たったこれだけの作業で、数日おきにブロッコリースプラウトが安く沢山食べられるようになります。素晴らしいとは思いませんか? え?思わない? お前だけ? そうですか……。価値観は人それぞれなので、あなたが正しいとか間違いだとかはありません。というか、普通の(まともな)人はこんなことしませんよね(大汗)。
栽培0日目――種を蒔いた直後です。 |
栽培1日目――種の殻が割れて根がちょっと顔を出しています。 |
栽培2日目――このぐらいの時期が一番見た目がグロいかもしれません。 |
栽培3日目――葉も根も大きくなってきました。 |
栽培4日目――茎が一気に長くなりました。 |
栽培5日目――茎がまだ伸びます。 |
栽培6日目――毎回このぐらいの時期に、もう緑化させるべきか迷います。 |
栽培7日目――もう少し生え揃うまで待ってみました。 |
栽培8日目――緑化のためドンブリを窓際に移動して1日経過(LED照明も約7時間照射) |
栽培9日目――緑化2日目で全体的に濃い緑色になってきました。 |
栽培10日目――緑化3日目、このぐらいの時期に食べてしまうこともあります。 |
栽培11日目――緑化4日目、かなり緑化がすすんで草っぽい双葉もあります。 |
この画像では分かりにくいと思いますが、食品スーパーで売られているものと比べて出来があまりよくありません。葉っぱが枯れかけているものや小さな斑点があるものも沢山あります。この辺の改善が今後の課題です。
季節によっては窓から入る日光が少ないので、それを補うLED照明を自作してみました。やはり科学的検証を全くしていないので、どのぐらいの効果があるか知りません(オイ)。LEDを人間の目では分からないぐらい高速に点滅させると、スプラウトの成長に良く、省電力でもあるそうなのですが、面倒なのでやりません(汗)。陽光の弱さを何時間分か補うための照明なので良しとしています。この自作LEDライトは、プログラムタイマーを使用して、毎日一定の時間点灯するようにしてあります。
ハンダ付け作業をなめていました。これだけのLEDを綺麗に並べてハンダするのって意外にしんどいです(汗)
LED照明を作成するにあたり、以下の書籍が非常に参考になりました。前述したLEDの高速点滅の回路も掲載されています。
栽培用のドンブリの底に穴を空けようか迷い中。空けたらこぼれた水の受け皿も用意しなくてはならないし面倒なので先延ばししています。
あとは、スプラウトの緑化後の状態を市販品の品質に近づけたい。水耕栽培用の液体肥料を色々試すしかないか……。
この記事は2014年5月頃に公開され、改訂を重ねて現在に至ります。